討竜の剣

人間の言葉を理解できるのかどうか、それはわからない。

だが『奴』は確かに、俺の言葉をきっかけに姿を現した。

盛り上がる湖面。

豪雨のように降り注ぐ水飛沫。

湖の中央に水柱が上がる!

そこから姿を現したのは、巨大な黒竜の鎌首だった。

首だけで水面から10メートルはあるだろうか。

恐ろしくでかい。

その体表はヘドロのような、コールタールのような粘液によって覆われている。

両眼は爛々と赤く光り輝く。

まるで炎のような色だった。

「汚竜…!」

ナハトが押し殺したような声で言う。

「ようやく会えた…お前が汚竜か…!」

そのおぞましい姿を目の前にしても、俺は怯まない。

竜ならこれまでに四体も相手にしてきた。

姿形に脅えて竦む、新米狩猟者は過去の話。

俺はもう、『竜殺し』を名乗るに相応しい経験と実力を身につけていた。