討竜の剣

ナハトは父の遺した設計を基に、対魔物討伐砲『竜滅砲』を完成させる。

同時に彼女は悟っていた。

恐らく竜滅砲でも汚竜は倒せない。

人間がどれだけ科学を追求しようとも、自然や神、魔王の力には抗し切れないのだ。

人ならざる者の手で生まれた魔物を討伐するには、やはり人ならざる者が造り上げた魔物の素材で鍛えた武器が必要となる。

竜種が相手ならば、それを葬れるのは竜種しかないのだ。

ライスト、フーガ、アイスラ…。

ナハトは世界中を旅して回った。

知識、技術、薬品、武器。

汚竜討伐に使えそうな物は何でも手に入れた。

時には貴族としての誇りも捨てて、頭も下げた。

嘲笑にも耐えた。

自業自得だと唾棄される事にも堪えた。

全てはドーラの民を救う為。

どんな屈辱をも甘んじて受け止めると決めた。

多くの国に背を向けられる中、ナハトは一縷の望みを託してファイアルを訪れる。

火の民の貴族は傲慢なばかりでアテにはならない。

15年前、一度は戦火を交えたドーラの貴族である自分に手を差し伸べてくれる貴族などいないだろう。

最後の望みは、大衆酒場に集まる狩猟者達だった。

「…『火の玉』と呼ばれる少年狩猟者…彼なら私に力を貸してくれるだろうか…藁にもすがる思いだった…」