討竜の剣

聞いた事がある。

ドワーフは人間の何倍もの怪力の持ち主であると。

その力はファイアルの力自慢の男が、30人集まってようやくドワーフ一人に勝てるかどうかというレベルだと。

この場に顔を覗かせているドワーフは…ざっと20人はいる。

襲い掛かられては確実に不利だ。

「……!」

俺は背中の剣に手をかけた。

「剣だ!」

「剣だ!」

「斬る気だ」

「戦う気だ」

「やっぱりファイアルだ」

「野蛮な殺戮者」

口々に言いながら、ドワーフ達の殺気が高まっていく。

しかし。

「待って…!」

ナハトが双方を制した。

「彼は…アキラは貴方達を狩りに来たのではない…貴方達も困っている筈…汚竜を討伐しに来た…」

「汚竜」

「汚竜」

「邪悪な魔物」

「ドワーフを滅ぼすもの」

また口々に騒ぐドワーフ達。

そのリーダーらしき一人が、俺を見る。

ナハトを見る。

二人を見比べる。

そして。

「嘘をついていない…信じる…通れ、お前達」

彼の言葉を合図に、ドワーフ達は窪みへと頭を引っ込める。

緊張した空気は一気に弛緩し、俺達は事なきを得て死霊の山を越えたのだった。