わたしはお家でお手伝いすることがありました。適当なのでやったりやらなかったり。
でも、やるときはやる子です。がんばり屋さんなので、言われる前に毎日毎日お手伝いしました。調子が良かったのでしょう。

しかし、こういう時に限って周りは気付いていません。

誉められた覚えもありませんし、お小遣いをちゃんと払って貰った記憶もありません。



だから"わたし"は
壊れました。



勉強机の上にあるものを泣きながら荒々しく落とし、卓上本棚にある本や資料を散乱させ、投げるものがなくなると、落ちたものを拾い上げ更に投げました。それでも足りないわたしは踏みつけて、更に更に泣き叫び暴れました。

母は、狂い泣くわたしを見かねて

「分かった!……分かったから…その、ほら、いくらなの?いくらだっけ?いくら上げればいいの?」

……情けない顔でした。

わたしを哀れんでいたのでしょうか。
いえ。
わたしの怒りを沈める手段を考えられず、怯えていたのです。少なくともわたしにはそう見えました。

わたしは、ざっと頭で計算し、「500円」と答えました。

当時のわたしには大金でした。しかし、それだけの働きをしていたし、親への憎しみもありましたし、500円が妥当だと子ども心に考えたのです。