「雪音さま。お久しぶりです。」

玄関ホールに入ると、奥から日本の樹の家にいた50歳ぐらいの家政婦さんが現れた。

「いなくなったかと思ってたら!アメリカにいたの!?」

懐かしさのあまり抱きついてしまった。

「はい。家政婦の中で唯一英語が話せたので。どうぞ、こちらへお茶とお菓子をご用意しております。」

客間に案内された。

「一人は寂しいから、あなたもここに居て一緒にお茶しましょ」

聞きたいことがあるし、樹が浮気してないかとかいろいろ。

「はい。わかりました」





「樹様がびっくりしてましたよ。本当に」

この家政婦さんの名前は愛子さん。

「だって、もうすぐ樹がここにきて1年にあるのよ。しかも優一とマナちゃん、絢ちゃんは結婚してるのにあたしたちまだしてないし。みんな子供いるし、あたしたちより後に付き合い始めたのにあたしたちより先に結婚したし。」

早口でいったから全部聞き取れたかな?

愛子さんは一口紅茶をのんで、にっこりとほほ笑んだ。

「そうですね。もうすぐ樹様と付き合い始めて10年ですか?」

「そうね。中3の時からだから8,9年ってところかしら。」

「樹様はここでずっと働くおつもりですよ。」

「えっ?」

今、ここでずっと働く?

「冗談でしょ?樹がそんなことを?」

「ご主人さまが2週間程前に来ましてね。」

樹のお父様が…どうして?葉月姉さまを病院の後継ぎにして、樹はアメリカで何をさせるつもり?

「樹様は、病院以外に医療関係の会社をを今作っているらしいですよ。ご主人さまにそう話していましたから。」

愛子さんは詳しいことは知らないと付け加えた。

「ここに来たら迷惑だったかな?」

「大丈夫ですよ。何か準備することありますか?」

また愛子さんがにっこりとほほ笑んだ。

「うん。」



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