雪音side

「来ちゃった!」

今いる国はアメリカ!

そして、可愛い古城みたい建物の玄関。

「雪音!?」

「会いたかった!樹」

目を丸くして驚いた樹に抱きついた。

「どうして!?なんでここに来たんだよ?仕事は?」

「休みとったの。」

樹はおじさまに言われてアメリカで仕事中。あたしという婚約者がいるのにアメリカに連れていくなんて。

あたしはというとお兄さまやお母さまと一緒に会社を切り盛りしている。今の所はお兄さまのアシスタントって感じかな。

「だからって、連絡なしに」

あきれた感じで言う樹。どうして?来ちゃいけなかった?

「ごめん!サプライズのつもりだったのに…」

「何かあったらどうするんだよ?」

「ごめん。」

久しぶりに会った樹に怒られた。怒られるのも久しぶりだ。

「まぁいいや。でも、これから仕事なんだけど。」

「えっ!?土曜日だよ?」

「俺、下っ端なの学ぶことがたくさんあるの。」

いつから仕事人間になったの?前ここに来た時はそんなことなかったのに…

「ここで待ってる。お仕事が終わるまで、いい?」

「いいよ。何かあったら家政婦さんに言って。」

そう言うと、樹はバックを持ってあたしの横を通って行った。


「忘れ物した。」

数歩歩いて、振り返って戻って来た。

「…ん」

「いい子にしてて」

あたしの頭を撫でて樹行ってしまった。



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