「あ、健ちゃんとは同い年の幼なじみです。健ちゃんとよく一緒にいる、可愛い子だなって思ってて」
そーいえば朝、先輩言ってたっけ。
可愛い子、かぁ。
「都築はただ部が同じだけ…」
「あ、あたしが勝手にくっついてるだけなんです!」
春先輩の言葉を遮って言った。
変な誤解されちゃ、たまんない。
「あの、あたしは帰りこっちなんで失礼します!先輩、お疲れ様でした。早音さん、さようなら!」
ペコッと一礼して、あたしは2人から離れた。
「…うーん」
1人、自動販売機でホットココアを買いながら考える。
今更、告えない…ヒト。
─“今更なかなか告えない
それが俺の好きな人”─
幼なじみだから。
ずっと一緒にいたから。
そう考えれば、納得?
…春先輩が好きな人は、早音さん。
そっか。
それならば、あたしも早音さんを好きになろう!
そして、あたしが好きな2人がくっつけば、
「これ以上はないよね!」
顔の前に拳をグッと握り、ココアをゴクリと飲む。
甘い甘いココアの味が、口いっぱいに広がるはずなのに。
「あ、朝のココア、先輩に渡したまま忘れてたなぁ」
今日は少しだけ、しょっぱかった。

