それから駅まではあっという間で。
電車が来るのをホームで待つ。
……え?
あの後どうしたかって?
そりゃ、告わせていただきましたよ!
先輩は、相変わらずだったんだけどね。
「健ちゃんっ!…と、お名前…分からなくて…」
凄く透き通ったか細い声が聞こえ、あたしは振り返る。
自分の名前を呼ばれた春先輩も、勿論振り返る。
「…早音(はやね)?」
ハヤネ、さん?
この顔どこかで…
「あ、あのっ…!今朝は助けて頂き、ありがとうございました!」
あぁ!
朝の女子高生さんだ。
「いえ、大丈夫でしたか?」
「はい。あの…お名前うかがっても?」
遠慮がちにそう言う早音さんは、とても綺麗な人だった。
そりゃ痴漢されるよ~。
「あたし、都築ハルって言います」
「ハルちゃん…。本当にありがとう」
そう言ってニッコリ笑った早音さん。

