「告白しないんですか?」
今度はもっと、踏み込んで質問をしてみる。
先輩は観念したのか、いつもより長い溜め息をつく。
「…今更、って感じだから」
「今更、ですか?」
何が今更なんだろう。
それって諦めるって事?
「そう、今更なかなか告えない。それが俺の好きな人」
目をそらしたままま先輩はそう言った。
今更告えない…?
言いづらい人なのかな?
「先輩…」
「ん?」
少し前を歩く先輩が振り返る。
夕日が眩しくて目を細める。
「最後に…」
コレが最後にしよう。
最後に、最後の。
「告白してもいいですか?」
眩しくて、先輩の表情はよく見えなかったけど。
「じゃぁダメ」
オレンジ色に光る、そう言った先輩の声は、いつになく優しくて切なかった。

