……なーんだ。
やっぱいるんじゃん。
「先輩、誰ですか!」
「は?」
先輩が好きな人は、あたしも好きになる。
だから協力だって、できるんだから。
「教えてくれたっていいじゃないですかー!先輩、オヤジくさいですよ!」
「…水くさい、でしょ」
「じゃ…どんな人ですか?」
あたしには、似てもにつかない人だったらどーしよ。
「だから俺、まだいるともなんとも言ってな…」
「嘘は駄目です!」
ビシッと先輩の口を、人差し指で指した。
「あたし、先輩の事はお見通しですから!」
好きな人が誰なのかは、全然見通せないけど。
…ううん。
それだけじゃない。
先輩の事は、ほんとは何一つ分かんないよ。

