暴力と死を象徴するようなその人物は、当たり前のように百人隊の兵士の死体を踏み付け、ティグに向かい歩を進める。 違和感― ヒトではあるが、人では無い。 人間の形をした異物― その存在は、恐怖そのものだった。 「……お前は、一体ナンなんだっ!!??」 恐怖に気圧されたティグはもう一度だけ叫ぶと、剣の柄に手を掛け、構え直す。 それこそが、死の扉への第一歩であった。