ティグが異変を感じたのは、必然である。 音が、無かった。 いくらヒトが隠れようとも、人間の臭いは自然の中に溶け込まない。 呼吸、体臭、生物特有の臭いは、その存在をわからしめた。 しかし― 各自が散らばって潜伏しているのだが、不自然な沈黙はヒトの死を臭わせている。 「敵襲だぁっ~!!」 切り裂くような、悲鳴にも近い叫び声が上がり、密林の中に恐怖が生まれるのだった。