屋敷の裏口に、闘兵衛が姿を現わす。
闘兵衛を見送るつもりなのだろう、老人が一緒について出ていた。
「……闘兵衛、殿」
老人は声を抑えながら、闘兵衛に話し掛ける。
「これからも、お嬢の事を助けてやってほしい。……このままでは、非常に不憫でならないっ!」
老人は語尾を荒げると、闘兵衛に請うていた。
「アイツは、そんなに弱くはないでしょう……?だが……、その願いは、覚えておきます」
闘兵衛は少し複雑な表情を浮かべて、その言葉を残し歩き始める。
立ち去る闘兵衛の背中に向けて、老人が深々と頭を下げていた。
