「ソレは……、自惚れ、と違うかしら?」 「……」 ジェノスは両腕を組み、素知らぬ顔で、闘兵衛の背中に声を掛ける。 月を眺めたまま、闘兵衛は沈黙を守っていた。 「人には、人の動く理由がある……」 淡々と闘兵衛の背中に語り始めるジェノスは、まるで道理を説いているようである。 「その理由を無視して、自分の都合をなすりつけるのは、単なる我が儘としか言えないわネ?」 続けて語るジェノスの方へと向き直った闘兵衛の表情は、驚くほど穏やかであった。