「闘兵衛殿……」 闘兵衛の後方より、皐月が声を掛ける。 「……」 気配を消し、環境と一体化していた皐月に対し、闘兵衛は特に驚かない。 皐月が森林に入っていた時から、既に、闘兵衛はその存在を感じ取っていたらしく、静かに振り向いた。 「……ジェノス殿が到着いたしました」 長らく待ち望んでいたであろう情報だったのか、皐月の表情がいつもより緊張感を表わす。 「そうか……」 闘兵衛は特に慌てる事もなく冷静に呟き、山を下り始める。 皐月も闘兵衛の後に続くように、港町を目指すのであった。