「……」



海上に浮かぶ輸送船の中で、身体に密着した黒装束を身に纏う金髪の女性が、淡々とした口調で、報告をしている。


その報告を、1人の男性が黙って聞いていた。



「……紅拳殿が、敗北致しました」



最後に金髪の女性が表情も変えず、呟く。



ここは、鬼鴉の輸送船の船内―



男性の為に用意されているその部屋には、執務用の机と椅子があり、机の上には書類が乱雑に積まれていた。