「この人は闘兵衛……。復讐の為、下山してきた男、よ」
桃太郎は闘兵衛への仕返しとばかりに、毒のある言葉を吐き出す。
「あぁ~……、この方が闘兵衛殿、ですか?」
老人は闘兵衛に視線を送ると、しきりに頷き感心しながら呟く。
「貴殿の事は、お嬢よりよく聞いておりますゾ?イヤァ~……、噂以上の腕前ですな」
先程の攻防で闘兵衛の強さを感じとった老人は、褒め讃えるように、さらに続ける。
「お嬢がこれほど殿方の話しをしたのは、初めての事です。……これからもお嬢の事、宜しくお願いいたし申す」
老人はよほど嬉しかったのだろう、関を切ったかのように一気にしゃべっていた。
