屋敷内の奥座敷に案内された闘兵衛は、あらためて桃太郎の姿に視線を送る。
いつもは後頭部で結っている髪を下ろし、襦袢の上に半纏らしき物を羽織っていた。
が、その身体付きは女性そのものである。
一見すると、別人のようにも見えるが、顔と声、雰囲気は明らかに桃太郎のモノであった。
「……さて、何から説明しようか……?」
桃太郎は顎に指を当てながら、悩むような仕種で呟く。
「……道理で、妙に色気があると思ったゼ」
闘兵衛は桃太郎の艶かしい仕種に、苦笑を浮かべ茶々を入れていた。
「……っ!」
桃太郎は耳まで真っ赤にし、口ごもる。
「お嬢……、この方は、何者ですかの?」
老人はそんな闘兵衛とのやり取りを見て、桃太郎に助け舟を送るように、口を開いた。
