己の身を傷つけるほど、闘兵衛は激情を耐え忍んでいる。
「せめて、埋葬だけでもさせてくれぃ……」
闘兵衛の心情を感じ取ってか、銃佐ェ門は吐き出すように、懇願した。
一刻の、間。
「……わかった」
長い沈黙の後、闘兵衛はボソリと答える。
「!?」
意外な表情を浮かべて、皐月は2人を見た。
皐月の知っている闘兵衛なら、銃佐ェ門の申し出を断るハズ。
ソレは、皐月の独善的な判断ではあるが、戦いの最中に死人を運ぶなど、愚の骨頂といえたからである。
全員の身を案ずるのならば、禁を放って脱出するのが最善策だった。