『ゴゥッ』 流血によって顔面を朱に染めた闘兵衛に、紅拳の打撃が減り込む。 闘兵衛の身体が軋むと、さらに追い撃ちをかける紅拳の連打が、決まる。 圧倒的有利に近い戦況にありながら、紅拳の表情に余裕は、無い。 (……こっ、此処で倒さなければっ!!) 焦る心を抑えつつ、紅拳は片腕の死んだ闘兵衛の腹部に、蹴りを放つ。 手応えは、有る。 だが、効果は無い。 手負いの、獣― 紅拳の背筋に冷たいモノが、流れていた。