「……」 闘兵衛はいつもの構えから、少し前傾姿勢に変化させ、さらに両拳を開いた。 「掴むつもり、ですか?無謀ですね……」 半ば呆れるように声を発する紅拳は、姿勢を崩し挑発するかのように手で招く合図を出す。 「……ッ!!」 闘兵衛は紅拳を激しく睨み付け、徐々に間合いを縮める。 制空権は重なり合い、互いに手を伸ばせは触れる距離まで近付いていく。 不動。 互いに手を出さず、さらに間合いが縮まる。 緊張感が漂い、張り詰めるように、引き絞るように筋肉が漲っていた。