『パァンッ』 戦いは、闘兵衛の初弾から始まる。 闘兵衛の右腕は鞭のようにしなり、空気を引き裂くような甲高い破裂音を立てた。 凶悪な右拳は、紅拳に向けられ繰り出される。 空振り。 否、紅拳がイナす。 「……ッ!?」 舌打ちと同時に、闘兵衛の表情が強張った。 闘兵衛の拳速は、常人の眼に捉えられるモノでは無い。 しかし、紅拳はソレを動かずにイナす。 流水のように、受け流すように、最小限の動きで衝撃を打ち消すのであった。