――街の、一角―― あの蕎麦屋にて、闘兵衛は蕎麦を注文する。 剣山への弔い、という訳では無い。 だが闘兵衛には、ソレが必要であるように思えていた。 後悔は、していない。 しかし、蕎麦の味を感じられなかった。 あの日、剣山と共に食べた蕎麦の味とは、違う。 ソレが、ナゼなのかは、闘兵衛には、わからなかった。 拳を握り締め、闘兵衛は蕎麦と向かい合う。 そして、ただ黙って蕎麦を食べるのだった。