人生に、戦いにおいて、もしも、という言葉は有り得ない。 あるとするならば、それは後悔とも、自責の念とも言えるモノであった。 だがもし、緒方 剣山 が十歳程若ければ、闘兵衛との戦いが違う形になって、殺されていたかもしれない。 黒鬼に限っていうなら、闘兵衛は三度戦い、二度敗北に近い形で、叩きのめされていた。 その気があれば、敗北時に闘兵衛にトドメを刺す事が出来たであろう。 結果的には戦いに勝利を収め、闘兵衛は生き延びている。 しかし、イマ、闘兵衛の眼前に立つ女性は違っていた。