「なるほど……、心当たりがある。コチラも不審な女の存在を、確認している」


闘兵衛は紙洲の独り言を無視するように背を向けると、その場を離れ始める。



「もう少し、調べてみるとしよう……」


紙洲は離れ行く闘兵衛の背中に声を掛けると、足を止めた闘兵衛はボソリと尋ねていた。


「……桃太郎ってのは、何者なんだ?」


そんな闘兵衛の問いに対し、複雑な表情を作り、紙洲は答える。



「自分の目で確かめろ。……犬飼っていう屋敷を訪ねれば、イイ」



「わかった……」



闘兵衛は一言だけ残し、街の中へと、消えていくのだった。