――後日、街中、昼――
「……死体は無かった」
橋の上から河を見下ろす紙洲は、感情を込める事もなく、同じように隣りに佇む闘兵衛に、答えていた。
「そうか……」
闘兵衛は特に驚かずに、さも当然と、呟く。
「本当に、殺ったのか?死体も……、刀すら存在しなかったゾ?」
紙洲は、チラリと無関心な闘兵衛に視線を送りながら、問う。
「あの人は、アンタの事を知っていた。それに、自分の事を鬼鴉を統べる者と言っていたからな?おそらく、部下が調べているんだ。……死体も、そいつらが片付けたんだろうよ」
闘兵衛は、街中で剣山から聞いた内容を、紙洲に教えていた。
