「仇では無かった……。だが、互いの、覚悟ってヤツが許さなかったんだろう。……そして、俺の殺意があの人より上だった、ダケだ」 闘兵衛はそれだけ述べると、街に向け歩きだす。 二度と、剣山の骸に振り向く事はなかった。 ソレが、生命を賭け闘った者同士の礼儀である、と、闘兵衛は考える。 後悔するくらいならば、最初から、闘うべきでは無い。 しかし、闘兵衛の視界には、涙を堪えるように、唇を噛み締める桃太郎の姿が映っていた。