―海上、黒船―



岩山で形成されたその島を、紅い瞳で睨み据える女性がいる。

長く伸ばした白髪を靡かせ、暗褐色の肌を持つ、美麗な女性、ジェノスが口を開く。


「……アンタが日本で戦った奴、クロオニの他にも結構な手練がいるが、それでも行くのかい?」


ジェノスは1人の男性に声を掛け、反応を待つ。


「……」


その男性は、沈黙を守っている。

黒船の甲盤から、真下の波間に浮かぶ小船に視線を送っていた。


「トウベェ……」


ジェノスは、その男性の名前らしきモノを呟く。


「邪魔する者は……」


その男性、闘兵衛は答えると共に左拳を振るい、ジェノスを睨んだ。