『ベキィンッ』
頚椎の砕ける、絶命の音が鳴り響く。
闘兵衛は、剣山の奇襲を素早く避けると同時に、背後に回り込む。
剣山の右脇と左腕を両手で封じた闘兵衛は、そのまま身体を担ぎ上げて、地面に後頭部を叩きつけるようにし、落とした。
口元から血の泡が噴き出し、剣山の刻が終わる。
闘兵衛は剣山の死に対して、一度だけ眼を綴じていた。
そして立ち上がり、何事もなかったかのように、外套を羽織り歩きだす。
「……死んだの、か?」
顔面蒼白になった桃太郎は、闘兵衛の前に立ち塞がり尋ねる。
「あぁ……、殺した」
闘兵衛は答えるが、その口調には抑揚がない。
「何故だ?」
桃太郎は険しい表情で、闘兵衛に問い詰める。
