ジェノスらが乗り込んだ黒船を見送るトゥルウとルソウの姿が、港の一角にあった。



「……行ってしまい、ましたね?」


「まるで、嵐のような人達でしたよ……」


癖のある赤い長髪を潮風に靡かせながら、ルソウが口を開くと、トゥルウは黒船を眺めつつ答え、さらに続ける。


「ルソウ……。全てを失ってしまいましたが、僕は一からやり直したいと思っています」


現状を口にし、現在を認めるトゥルウの発言は、それだけで先に進む事をわからせた。


「……手伝って、もらえますか?」


トゥルウの宣言に対し、ルソウは膝まずき、一言返答する。



「お供いたします」



ソレは、儀式のように済まされていた。