「解らない……」 否定するように呟いた禁は、首を左右に振るう。 「私はもう……、あの人を恨んでいません」 禁が理解しそこなったと思った皐月は、己の今の心情を口にする。 「……最初はわだかまりもありましたが、ソレは主を裏切ると同時に、彼らの戦いを陥れるモノとなります」 皐月は真っ直ぐな瞳で、静かに断言した。 「……」 禁は、沈黙する。 「闘兵衛殿は……、船の中で、約束の為に戦うと言っていましたが……」 思いだすように、皐月は船の中での闘兵衛の発言を、声にしていた。