闘兵衛は、街中を歩いている。
まったく当てはなかったのだが、ただ、足を進めていた。
闘兵衛は、解っている。
剣山が、自分の家族を殺した犯人では無いという事を、確信していた。
ナゼ、だと問われれば、答えようがない。
そんな闘兵衛の眼前に、一人の男が現れる。
その手には布袋に包まれた棒状の物が、ズッシリと握られていた。
「……緒方さん」
闘兵衛は男、剣山の姿を認め、足を止めてボソリと声を掛ける。
「遅かった、のぅ……」
剣山は棒状の物を肩に担ぎながら、飄々と、口を開く。
「……」
闘兵衛は沈黙を守ると、剣山を睨みつける。
「……少し行った所に、イイ場所がある。ついて来なさい」
剣山は手で着いてくるように合図をすると、歩を進め、闘兵衛もその後に続く。
「遅かった。ってのは、どういう意味だ?」
闘兵衛は剣山の隣に肩を並べると、正面を見据えたまま視線も合わせず、問い掛ける。
「……お主に紙洲殿がいるように、儂にも情報網があるという事よ」
剣山は無表情で、淡々とそう返答するのだった。
