幽鬼に近いその存在は、禁の眼前で、不自然に揺れ動く。 「まるで、猿だな?」 禁は長巻き片手に、頬を吊り上げ、呟いた。 早朝、大聖堂近辺には、死を誘う者らが徘徊しており、彼らの好物を持つ禁ら一行は徐々に囲まれていく。 死を誘う者。 異常に突出した身体能力は、普通に地面を走らずに、木々を駆け跳ねて、移動を行う。 禁が形容した通り、まるで猿のようではあるのだが、両手に装着された鉄の爪の凶悪さは、その比ではなかった。