禁は最高点に達していたと錯覚させる過去にしがみつき、現在を見ようとしていない。 闘兵衛は過去のしがらみを打ち消すため、意地を張った無謀な冒険へと、旅立っていた。 どちらが正しいのかは、わからない。 つまらない理由だと言われれば、それまで、で、あろう。 ただ、相反する2人でありながら、鏡に映し出したようによく似ていた。 ヒトとして、もがき苦しむ姿が、である。 禁は左眼の疵痕を、左手の人差し指でなぞると、闇夜に浮かぶ月を、ただ眺めるのだった。