禁の父親は、海賊の頭目であった。 それゆえ、禁も頭目の娘として船に乗っていた。 歌舞伎姫。 稀に見る美貌に男勝りの身長、派手な着物に身を包んで、長巻きを片手に暴れまわる禁に付けられた、字名である。 どちらかというと、今のジェノスの立場に近い。 しかし― 父親の部下、一番の腹心による裏切り。 国家と元腹心の攻撃によって、父親と船と仲間と左眼を失った。 禁に残されたモノとは、顔の疵と過去への思い出のみである。 過去のしがらみは、禁の刻を止めていた。