一昼夜走り回ったせいであろう、トゥルウは泥のように眠り込む。



月光を反射する池の水面に、禁の姿が映った。


「……」


禁は黙々と自分の顔に巻いてある包帯を、外し始める。


その包帯の下には、左眼を潰している大きく醜い疵痕があった。


禁は池の水を掬うと、静かに顔を洗いだす。



「……その疵が、お前が女を棄てた理由か?」



「!?」


不意に、そんな禁の背後から声を掛ける人物がいる。


驚きを隠せない禁に声を掛けたのは、闇夜から現れた闘兵衛であった。