そんな闘兵衛を憎々しい目つきで、禁が睨んでいる。
その瞳は、闘兵衛というより、別のモノを渇望しているような光を放っていた。
「キン様も水浴びをしたら、いかがですか?」
トゥルウは身体にこびりついた汚れを落とすと、スッキリした表情で禁に声を掛ける。
「……イヤッ、俺は少し辺りを見てくる……」
禁は森の方向へと振り返ると背中越しに呟き、闇の中に消えて行く。
「そうですか……」
少し淋し気にトゥルウは言葉を漏らしたのだが、再び水で顔を洗いだす。
「……」
消え行く禁の背中に対して、闘兵衛は無言で視線を送るのだった。