鬼 鴉【総集編】



「……」


桃太郎の慈しむような視線に気付いたのか、少し照れるように闘兵衛は口をつぐむ。



「ん?……どうした?」


桃太郎は、突然閉口した闘兵衛に問い掛ける。


「……いや、アンタにも感謝している。俺が面白いと思ったのは緒方さんとアンタだよ」


闘兵衛は真剣な表情に顔を変化させ、口を開く。


「面白い……?」


桃太郎は闘兵衛の言葉の真意を掴めず、首を傾げ聞き返していた。



「俺は……、侍って奴は刃物を持っただけの弱者なのだと、思っていた。刃物がなければ、意見も言えない奴らだとな?」


関を切ったかのように語る闘兵衛は、一呼吸置いてさらに続ける。


「……だが本物も要る。尊敬できる生き方をしている人間こそが、面白いんだよ」


闘兵衛の謎掛けのような言葉に、桃太郎は苦笑を浮かべる。



「解らなくてもイイよ。だが、アンタには借りが出来たな?色々と気付かせてもらったから……」


闘兵衛は空を見上げて、それ以上口を開かなかった。


出会いというモノが、人の心情にどのような変化をもたらすかは、容易に説明出来ない。

ただ、ソレは人間の成長にとって必要不可欠な事であるのは、確かであった。