「イイエ……。相手は、たったの1人らしいのですが……」
「馬鹿なっ!?……35名が、たった1人に殺られただとっ!!そいつは何者だっ!?」
若い男は口ごもりながらもさらに続けるが、教主の恫喝にも近い質問攻めに、怯む。
「あ、あのっ、報告によりますと、黒い肌に白い長髪の女が、神官戦士隊を全滅させたと……」
青ざめ、恐縮する若い男は搾り出すようにして、声を吐き出す。
この若い男に責任があるのではないが、残念な事に教主からしてみれば、そんなモノは、知った事ではない。
自分も関係者でありながら、ソレを棚に上げて、他人に全てを求める。
無能な権力者の専売特許でも、あった。
