サブマージは両腕を拡げると、教主の撤回の言葉に苦笑いを浮かべ、閉口する。
黄土色の毛髪に、長身、端正な顔を持つその男こそ、剣闘士・サブマージであった。
『ガチャリ』
「っ!!?」
教主は不意に開かれた扉に、仰天する。
権力に守られている者には、不安要素が生まれる事を恐れる傾向があるといっても、過言ではなかろう。
大層な台詞を吐いても、ソレに見合う実力がないので、ビクビクと恐怖に怯えるしかない。
教主の卑屈気味に老けた顔が、さらに輪を掛けて不機嫌になる。
「……ほっ、報告しますっ!!」
慌てた口調で、質素な青い法衣を着た若い男は、声を発した。
