「ホッホッホ……」
闘兵衛の反応を見て、さらに剣山は笑う。
この対応からして剣山の格、年の功というか、器の大きさがわかる。
まだ未熟な闘兵衛の反応とは、天と地ほどの差があった。
「闘兵衛、殿じゃったかのぅ?……どうじゃ、飯でも一緒に食わんかい?ご馳走してやろう……」
剣山はひとしきり笑った後、闘兵衛に誘いの言葉を掛ける。
「……断る理由は、ねぇナ?お供させて、もらいますよ」
闘兵衛は苦笑いを浮かべつつ、使い慣れない敬語を交えて答えた。
もちろん断っても良かったのだが、闘兵衛は剣山という人物に、何故か、興味を持つ事となる。
不思議な感覚ではあったが、闘兵衛の好奇心が勝った。
武士という人種を知るには、絶好の機会とも思える。
促すまま、闘兵衛は剣山の後ろを着いていき、街の中に消えていくのだった。
