月明かり照らす街の通りには、人っ子1人存在していない。 むしろ、人の存在を否定するかのように、街全体がジェノスら一行を圧迫し排出したがっているようだった。 「!?」 人の気配に最初に気付いたのは、闘兵衛である。 「……待て」 「「?」」 闘兵衛は全員に聞こえるように小さく、鋭く、呟いた。 水滴の音すら見逃さないほどの闘兵衛の反応に、皆が驚く。 全員が歩行を止めるのと同時に、通りの先に人影が現れるのだった。