そういう類いの人間が、目の前にいるのだ。



(鬼鴉とはなにかしらある男とは感じていたが、……思わぬ拾いモノだったかもしれないネェ?)


ジェノスは闘兵衛の後ろ姿を見つめ思考を巡らすと、その背中に声を掛ける。


「鬼鴉は、組織化された戦闘集団だよ?1人で挑むのなら……、自殺行為としか言えないネェ?」


「……関係ねぇよ」


ジェノスの半ば脅し文句に、闘兵衛は肩越しに、切り捨てるように答えていた。


「あの連中も、よく分からないからネ……?日本まで行って、女1人を連れて帰ったダケだからネェ……」


「……っ」


その言葉に闘兵衛の表情が、一瞬だけ変化する。

ジェノスはソレを見逃さず、興味深げに闘兵衛へと注目していた。