ジェノスは自分の脳の引き出しから、ある出来事を探り当てていた。 日本という島国へ、鬼鴉の総帥と呼ばれる男を迎えに行ったのが、始まりである。 その時、総帥の部下である剛の者達を圧倒した男が、いたハズであった。 一騎当千ともいえる鬼鴉の部下達を倒す男だったので、ジェノスの記憶にも新しかったのだ。 もっとも、そういう輩はいくらでもいる。 恨みを持つ者や、鬼鴉に与しようとする者。 千差万別ではあるが、だいたいの人間は、その後の消息が知れなかった。