「……先に、アンタらに仕掛けさせないで良かったよ。大惨事になる所だった、ネェ?」


あっけらかんと口を開くジェノスに、ヴォルトは身震いするしか出来ずにいた。


凶暴性を臭わせる猛獣、その人間を船に乗せるとジェノスは、言うのだ。


ソレは、生命に関わるであろう危険な行為とも、いえる。

その生死の駆け引きこそが、ジェノスの根本でもあり、本質であった。


だからこそ、恐ろしい。


ヴォルトは、いつもの事ながら、ただ平穏を願うのみであった。