闘兵衛の前蹴りによって吹き飛ぶ侍は、仲間の侍にぶつかり、残り二人の動きを止める。 その瞬間、動ける侍は、皆無となっていた。 『ベシィッ』 闘兵衛の目にも留まらぬ右上段蹴りが、侍の頭部を撃つ。 『バカァッ』 さらに、体捌きの勢いで闘兵衛が飛び跳ねた。 跳び後ろ右廻し蹴り。 仲間を支えている侍の頭部を、正確に闘兵衛の右脚が弾いた。 この惨劇、約七秒。 五人からなる侍が、素手の闘兵衛に、数秒で打ち倒されるという現実に、紙洲は息を飲み込む。