「ココに紅拳殿からの報告書がありますが……、どうします?」
薄く笑みを浮かべると、ロインは懐から紙を取り出し口を開く。
「お前の事だから、そういうモノを預かっていると思ったよ……。読んでくれ」
椅子に深々と座り直し、鬼人は頬を緩ませながら呟いた。
「……現鬼鴉の保有する船では、兵士1200人を運ぶ事もままならず、蛮族との決戦は、非常に困難である」
紙に成された封を解き、ロインは紅拳からの報告を読み始める。
「現地にて砦、防壁製作の為に購入していた材料にて、筏20隻を製造。兵の運搬に使用後、筏を再利用し砦、防壁を構築せしめし……」
ロインは淡々とした口調で読み上げ、鬼人に視線を送った。
