戦乙女。を思わせたその姿は、幻影である。
そこにいるのは、今にも消え去ってしまいそうな脆く儚い女性であった。
「……少しだけ、疲れました……」
気だるそうに闘華はそう呟くと、太刀を振るい、血糊を飛ばそうとする。
しかし、何十人の血は、絡み付くように、闘華から離れようとはしなかった。
「アーク……、城へ行って、直ぐに湯浴みが出来るように、準備して下さい」
闘華の尋常でない雰囲気を察知して、紅拳は不安げな表情のまま凍り付くアークに、声を掛ける。
「は……、ハイッ!!」
アークは我に返り返答すると、城に向けて金髪を揺らし一目散に、駆け出していった。
