「ハァ、ハァ……」
先程の戦闘中の大人びた表情とは打って変わり、目尻を下げ、悩み困り果てているアークは、紅拳の眼前で呼吸を整える。
「……トウカ様が、見当たらないんですっ!?」
アークは蒼い瞳を潤ませながら、震える声で口を開く。
余程、闘華の身が心配なのだろう。華奢な身体をブルブルと揺らして、辺りを見渡す。
「心配には及びません。……彼女ほどの腕なら、万が一にも殺られる事はありませんよ」
紅拳は金髪の少年を安心させるように、優しく語り掛ける。
しかし、あながち嘘というワケでもない。
闘華のあの剣術ならば、たかが蛮族の稚技ごときに、遅れをとるハズもなかったからだ。
