ブレイドの感情を察知してか、ティグは苦笑を浮かべると、姿勢を正す。 「それでは負傷者、死者の確認と……」 ティグはブレイドと残務処理についての段取りを話しながら、その場を後にする。 「……」 紅拳は無言のまま、その後ろ姿を見送っていた。 「コウケン様ぁ~!!」 耳障りの良い、戦場にそぐわない美声が、紅拳の足を止める。 「アーク……」 紅拳は、息を切らしつつも自分の傍に駆け寄ってくる少年の名を呟いていた。